趣味と散策

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富山県内の住宅メーカーの担当者から「不況で富山の家が小さくなっている」という気になる話を聞いた。富山といえば、住宅面積「日本一」を続け、大きな家がお国自慢の一つだが、最近の若者は広さより機能性を重視するらしい。(荒木雄輔)
 まずは統計データを調べてみた。3年前の総務省の住宅・土地統計調査では1住宅当たりの延べ床面積は全国の92平方メートルに対して富山県は149平方メートルと全国1位をキープしている。石川は126平方メートルで全国7位だった。

 全国的に見れば依然として富山の家が広いことは確かだ。しかし、地元の住宅メーカーによると、広い家を新築する人は年々少なくなっているという。

 富山では「広い家を持つことがステータス」と考える人が多いと聞いたが、流れが変わったのだろうか。

 富山の住まい事情などに詳しい富山国際大現代社会学部の浜松誠二教授に尋ねたところ、「景気の先行きが不透明ですし、必要以上に広い家はいらないと考える若者が増えています」との答え。不況の影響が大きいようだ。

 浜松教授が国土交通省の統計調査を基に再編集した、富山県内で着工した新築延べ床面積のデータを見ると、富山の持ち家は1991年の168・5平方メートルをピークに狭くなり続け、2007年は152・5平方メートルと、約1割減となった。

 さらに、タカノホーム(富山市)に新築住宅の延べ床面積の推移を聞いてみると、2001年の約200平方メートルから昨年は148平方メートルまで縮小したという。

 県西部の不動産業者約80社でつくる流通ネットワーク「コアネット」には、30代前半の顧客から「敷地面積は半分でいいから、総額を抑えたい」との相談があり、吉政文夫運営専務は「若い世代を中心に住宅につぎ込む予算が減っている」とこぼす。

 以前は、ローンを組んでの一戸建ては、土地、建物を合わせて3千万円前後が主流だったが、最近では2500万円程度に下がったという。

 不況だけでなく、生活スタイルの変化も住宅面積の縮小に関係している。

 オダケホーム(射水市)の広報担当者は「かつて富山の家は冠婚葬祭を行う場でもあった。しかし、最近は式場で行うのが主流となり、必ずしも広い家が必要でなくなったのかもしれない」と分析する。

 住宅メーカーも小型の物件を売り込みに積極的だ。

 タカノホームは、コンパクトでも耐震性能や高気密・高断熱など性能にこだわった「エコハウス」を提案。以前に建てられた大きな住宅が改築時期に差し掛かっている点にも着目し、今月中にも同市のリフォーム常設展示場「蒼穹館」を新装開店する。

 カネコホーム(富山市)も小型化を商機ととらえ攻勢に出る。

 金子豊寿社長は「暖房費がかさむ大きく立派な旧来の家から、小型でも高機能な住宅が好まれるようになる」と指摘。中2階やロフト、壁面に収納を施し、敷地が狭くても広く使えるような設計の住まいを売り込んでいる。

 浜松教授によると、持ち家率では既に秋田に日本一を譲っており「この傾向が続けば、広さでも、2位につけている福井や、後に続いている東北各県に抜かれる日が来るかもしれない」という。

 核家族化や人口減少で家が小さくなるのは当然と言えば当然なのだが、広い家は富山の自慢だけに何とも言えない寂しさも感じている。(富山新聞より)