
富山新港に面した片口緑地公園に、高さ約15mの高純度アルミ製の新湊弁財天の像が静かに立っています。毎年4月21日に、新湊弁財天前で富山新港の開港記念日祈願祭が営まれます。
新湊弁財天がこの地に建立されたのは1986(昭和61)年。地域住民がこの弁財天を安全の心のよりどころとする根源は江戸時代にさかのぼります。
片口の郷土史によると、江戸時代、片口地区の潟周辺の水郷地域で、潟の泥を掘り上げる作業中、落命する人がたびたびありました。
このため1767(明和4)年、放生津潟の中心に、現在の高岡市太田(以前は氷見郡)から岩や石を運んで築島を設け、潟周辺の27カ村の惣社として海童社を建て、住民らは平安を祈願しました。
海童社は明治時代に少童社と改称、1967年に富山新港造成の影響により片口に移りました。その後、老朽化した社殿は撤去され、86年に現在の新湊弁財天が建立された歴史があります。
弁財天の姿は神々しく、琵琶を手に陽光を浴びてキラキラと輝く像は畏敬の念を持って見上げてしまいます。